はじめに
OpenAIが2022年後半にChatGPTをリリースして以降、生成AIは瞬く間に世界中の注目を集めました。その波は衰えることなく2025年現在も、多くの企業が生成AIの有効活用に向けた検証や実装に積極的に取り組んでいます。
特に今年は「AIエージェント元年」とも呼ばれ、より自律的に行動できる生成AI技術に注目が集まっています。またテキスト生成だけでなく、画像や動画、音声そしてそれらを組み合わせたマルチモーダルな生成AIの発展により、私たちの働き方や生活様式は着実に変化し続けています。
こうした急速な発展に「もう遅れてしまった」と感じる方も多いのではないでしょうか?
ですが、心配ご無用です。生成AI技術は日々アップデートされ、新たな可能性が次々と生まれています。つまり、この分野に精通した「専門家」も常に新しい情報をキャッチアップして学び続けている状況なのです。
そのため、今から生成AIを学び始めてもまったく遅くはありません!!
この記事では、生成AIについてまだよく理解していない方に向けて、基本的な概念から実用的な活用法までわかりやすく解説していきます。今こそ、生成AIという新しい世界への扉を開く絶好の機会です。一緒に学んでいきましょう!
この記事の対象読者
Level 1: GenAI Beginner
- 今まで生成AIを触ってこなかった方
- 生成AIについて興味を持ち始めこれから学びたいと考えている方
- 生成AIが何かを 140 文字程度(4~5文程度)で説明できない方
- AI (機械学習やディープラーニング) について基本的な知識がある方
この記事を読むことで得られるもの
- 生成AIについての基礎的な内容を理解できるようになる。
- 生成AIについて同僚や友人に説明できるようになる。
- 生成AIの基本的な知識について学んだ後、次にどのような行動をとるべきかが明確になる
生成AIとは?
生成AI(Generative AI)とは、文章や画像、動画、音楽などといった新しいコンテンツやアイデアを生成する AI の一種のことです。
2020年代に「生成AI(Generative AI)」が登場しました。これまでのAIでは、入力された画像や音声などのデータについて主に推理や判断を行っていたのに対し、生成AIは自ら新しいデータを生み出すことができるようになりました。
例えば、「ChatGPT」をはじめとした文章生成AIは、入力した質問に対してまるで人間が書いたような自然な文章で回答したり、入力したキーワードやテーマに応じた文章を作成することができます。また、OpenAIの「DALL-E」をはじめとした画像生成AIでは、入力したテキストからイメージに合ったイラストやリアルな写真を生成することができます。
その他にも、プログラムコードや動画、音楽などを生成できるものもあります。
生成AIの重要な概念
これから生成AIを学んでいく上で、まずは基本的な用語や概念をおさえておきましょう。
基盤モデル (Foundation Model)
基盤モデル(FM: Foundation Model)は、一般的に自己教師あり学習の手法を使用して膨大なデータセットで事前学習され高い汎用性をもったディープラーニングモデルのことです。1
A foundation model is any model that is trained on broad data (generally using self-supervision at scale) that can be adapted (e.g., fine-tuned) to a wide range of downstream tasks
また、基盤モデルに対してファインチューニングを実施することで特定のタスクに適用させることができます。
代表的な基盤モデルには、以下があります。
- OpenAIのGPT (GPT-3, GPT-4o など)
- AnthropicのClaude (Claude 3.7 Sonnet, Claude 3.5 Haiku など)
- GoogleのGemini (Gemini 2.0 Flash, Gemini 2.0 Flash-Lite など)
大規模言語モデル (Large Language Model)
大規模言語モデル (LLM: Large Language Model) とは、膨大な量のテキストデータを用いて数百億以上のパラメータを長時間かけて学習させた言語モデルのことです。
言語モデル (LM: Language Model) とは、テキストデータを入力として受け取り、文章生成や要約、翻訳といった自然言語処理タスクを実施するモデルのことを言います。
したがって、大規模言語モデルは、パラメータ数・学習時間・学習データがとても膨大な言語モデルということになります。
Transformer
Transformerは2017年に発表されたディープラーニングモデルで、LLMの中核となる存在です。
当初のTransformerはエンコーダ・デコーダアーキテクチャを採用していました。しかし、GPT-3登場以降の現在主流のLLMでは、デコーダのみのTransformerが使用されることが一般的になってきています。
Transformerの特徴は以下です。
- 汎用性: 自然言語処理だけでなく、画像処理など幅広い分野で活用されています。
- Attention機構: Transformerの中核となる技術で、入力データの関連性を効率的に捉えることができます。
- 並列処理: 従来のRNNモデルと異なり時系列データを逐次処理する必要がないため、処理を並列化して学習時間の大幅な短縮が可能です。
- 高精度: 機械翻訳タスクにおいて、従来のモデルを上回る高いBLEUスコアを達成しました。
生成AI関連の主要なサービス
テキスト生成AI
ChatGPT
ChatGPTは、OpenAIが2022年11月に公開した会話型AIです。いわずもがな近年の生成AIブームの火付け役として大きく貢献しました。
ChatGPTでは、生成AIを活用して自然な会話を通じて質問に答えたり、文章を生成することができます。使い方は非常に簡単で、OpenAIのウェブサイトで無料でアカウントを作成し、ログイン後に質問や指示を入力するだけですぐに使い始められます。PCやスマホから利用可能で、多様な言語に対応しています。また、入力にはテキストだけでなく、画像や音声といったマルチモーダルな入力に対応しています。
Claude
Claudeは、Anthropic社が開発した高性能な対話型AIです。日本語を含む自然言語での会話が可能で、文章生成、要約、翻訳、コード作成など多彩な機能を備えています。無料版と有料版があり、ウェブサイトで簡単に登録して利用開始できます。複雑な質問にも答えられる高度な推論能力が特徴で、業務効率化やクリエイティブな作業に役立ちます。
Microsoft 365 Copilo
Microsoft 365 Copilotは、AIを活用してOffice製品と連携する強力なアシスタントです。文書作成、データ分析、プレゼン資料作成などの業務を効率化し、自然な対話で指示を出せます。Word、Excel、PowerPointなどと連携し、複雑な作業も簡単に行えます。導入には有料のMicrosoft 365ライセンスが必要ですが、業務の生産性向上に大きく貢献します。
画像生成AI
Stable Diffusion
Stable Diffusionは、テキストを入力するだけで高品質な画像を生成する無料の画像生成AIです。イギリスのStability AIが開発し、オープンソースとして公開されています。プロンプト(命令文)を工夫することで、多様なスタイルの画像を作成可能で、商用利用も柔軟に対応できます。
画像生成AI Stable Diffusion — Stability AI Japan
DALL-E 3
DALL-E 3は、OpenAIが開発した高性能な画像生成AIです。テキストで指示するだけで、高品質な画像を簡単に作成できます。ChatGPTと連携し、自然な対話で画像生成が可能になります。無料版と有料版があり、商用利用も可能です。初心者でも使いやすく、クリエイティブな作業を支援します。
Midjourney
Midjourneyは、テキストから高品質な画像を生成するAIツールです。Discordを通じて利用でき、簡単な英語の指示で多様な画像を作成できます。初心者でも直感的に操作可能で、アート制作から商用利用まで幅広く活用できます。ただし、現時点では有料プランのみ提供されていることにご注意ください。
生成AIの活用ケース
チャットボット
生成AI活用の代表例としては、やはりチャットボットが一番に挙げられるでしょう。そもそも生成AIはユーザーの入力に対する回答を生成することができるため、チャットボットとの相性が非常に良いわけです。
ChatGPTを利用したことがある方ならご存知かと思いますが、チャットボットではユーザーの質問と生成AIの回答が交互に繰り返される流れでやりとりしていきます。また内部的に過去の両者のやりとりを保持しているため、ユーザーの質問に対して過去の話の流れに沿った回答を生成AIが生成することが可能です。
チャットボットは手軽に使い始められることから、質問や文章要約、機械翻訳等一般的な自然言語のタスクに利用されます。
RAG
RAGとは、Retrieval-augmented generation の略称で、日本語では一般的に「検索拡張生成」と呼ばれています。
先ほど、LLMは膨大な量のテキストデータを用いて数百億以上のパラメータを長時間かけて学習させた言語モデルと説明しました。つまり、LLMは学習した時点での公開データしか持っておらず、最新のデータや学習していない社内のプライベートなデータに関する情報は持っていないということです。そのため、最新情報に関する質問や社内のプライベートデータに関連する情報を検索しようとすると、誤った情報や架空(嘘)の内容を回答しいようとしてしまう「ハルシネーション」と呼ばれる現象が発生するリスクがあるわけです。
そのリスクを軽減しようと考案されたのがRAGという技術です。RAGでは、以下の流れでユーザーの質問に答えます。
- データソースに格納されている最新情報や社内のデータを、埋め込みモデルを使用してベクトルに変換
- ベクトル変換したデータをベクトルストアに格納
- ユーザーの質問を埋め込みモデルでベクトルに変換(クエリ)
- クエリとベクトルストア内の情報を比較し、類似度に基づいて関連する情報を検索し取得
- ユーザーの質問とベクトルストアから取得した関連情報を生成AIモデルに提供
- 質問と関連情報に基づいて回答を生成してユーザーに返答
上記のように、ベクトルストアに格納した追加情報を検索することで、従来の生成AIモデルの性能を拡張して応答を生成することから、「検索拡張生成」と呼ばれているわけです。
AI Agent
2025年3月現在生成AIに関する特にホットな話題はやはり「AI Agent」でしょう。
AIエージェントは、従来の生成AIからさらに進化した次世代のAIシステムです。ユーザーが目標を設定するだけで、AIエージェントが自律的にタスクを計画し実行します。
主な特徴は以下の通りです:
- 高い自律性:複数のAI技術や外部システムを連携させ、目標達成まで一連の作業を自動で遂行します。
- 複雑なタスク処理:情報収集、分析、実行、結果報告までを連続して行います。
- 学習能力:使用するほど、ユーザーの好みや業務パターンを学習し、パフォーマンスが向上します。
- マルチモーダル対応:テキスト、画像、音声など多様な形式のデータを扱えます。
AIエージェントは、ビジネスプロセスの自動化や意思決定支援など、幅広い分野での活用が期待されています。従来のAIと比べ、より高度で複雑なタスクを自律的にこなせる点が大きな特徴です。
まとめ
本記事では、生成AIの基本的な概念から最新の動向まで幅広く解説してきました。生成AIは2022年末のChatGPTのリリース以降、急速に発展し、2025年現在も進化し続けています。特に注目すべきは、テキスト生成だけでなく、画像、動画、音声などのマルチモーダルな生成能力の向上です。
また、基盤モデル、大規模言語モデル、Transformerなどの重要な技術概念について説明し、これらが生成AIの基礎となっていることを示しました。さらに、ChatGPT、Claude、Stable Diffusionなどの主要なサービスを紹介し、それぞれの特徴や用途について解説しました。
生成AIの活用ケースとしては、チャットボット、RAG(検索拡張生成)、そして最新のトレンドであるAIエージェントについて触れ、これらの技術が私たちの働き方や生活をどのように変革しつつあるかを示しました。
重要なのは、生成AI技術が日々進化し続けているという点です。そのため、この分野の「専門家」も常に新しい情報をキャッチアップし続けている状況であり、今からでも生成AIを学び始めるのに決して遅くはありません。むしろ、今こそが生成AIという新しい世界への扉を開く絶好の機会と言えるでしょう。
この記事を読んだあなたが次に取るべき行動
最後に、本記事を読んだ方々には、実際に生成AIサービスを体験し、その可能性を肌で感じていただくことをお勧めします。本記事でもいくつか代表的な生成AIサービスをご紹介しています。「百聞は一見にしかず」とも言うので、これから生成AIサービスにたくさん触れてより興味を持っていただければなと思います。生成AIは私たちの未来を形作る重要な技術であり、その理解と活用は個人としても組織としても大きな価値をもたらすことでしょう。
コメント